企業イメージ:株式会社スター精機

伴走者であれ。
実現力と提案力で60年

株式会社スター精機

富士見でも古参企業の一つに数えられるスター精機。自動車、空調、省力化機器など幅広い部品製造を手がける同社は「完成品納品を原則とし、求められれば設計にも提案を行う」ことが大きな信頼となり、50年以上の取引が続く大手企業も5社にのぼる。創業60年まであと2年、事業承継の準備も着々と進み、富士見町商工会会長も務める現社長・名取元秀と後継者の名取有希は今、それぞれのまなざしでこれからを見据えている。

いち早く「太物」を手がけ、自動車業界に参入。
約30社の協力会社と連携するコア企業に成長

圧力計などの精密部品製造を原点に、1963年に誕生したスター精機。諏訪圏の産業の発展が後押しした創業だったが、同社の大きな成長の転機は、モータリゼーション時代の到来を見越し、地域でもいち早く自動車用部品の製造が可能な加工設備を導入したことだった。
名取元秀社長は、当時をこう振り返る。

代表取締役社長 名取元秀

「諏訪で盛んに作られていたオルゴールや時計部品は、だいたい5mmほどの、量がかさんでもバイクで納品に行けるくらい小さなものが中心。これなら諏訪の地元企業同士でやるのが一番強い、私たちは勝てないわけです。しかし、少し目線を広げれば、中京圏には自動車関連会社のみなさんが大きな部品、30mmから40mmのいわゆる『太物』部品を作れる工場を探している。もちろん関東にも仕事はある。ならばと私たちは、太物の二次加工から参入をめざし、早くに舵を切ったことが今につながっています」

自動車関連はシャフト、ジョイント、スイッチ電装等、空調関連はピストン、リードネジ、リティナー等を手がけるほか、省力化機器、カメラ関連まで取引業種も幅広い

加えて同社の大きな強みとなったのは、約30社におよぶ協力会社との連携体制。スター精機は製造の中枢を担う「コア企業」として、部材の手配から、バーワークやチャックワーク、ネジ加工、ASSY加工等を担うが、熱処理、メッキ、ダイカスト鋳造など、自社でまかなえない工程は協力会社に即座に依頼できる体制が整っている。これにより、幅広い部品を手がけながら、いずれも完成品まで仕上げることが同社の納品形態の原則となっていった。

「いくら加工が安くできてもメッキはできないとか、熱処理は他をあたってくれ、という会社が多かったんですよ。その点、スター精機に頼めば原料手配の心配もなく、納品されたらすぐに使える部品が届く。これも選ばれて、お付き合いも長く続いてきた理由かもしれません」

幸い、富士見町には「コンパスで1時間以内の円を描けば、大抵のことができる企業に出合える」という、大きな地の利があった。名取は持ち前の行動力で、点在する技術を網の目のように繋ぎ、「多様なニーズにネットワーク力で応える」という、スター精機のアイデンティティを築いていったのだ。

大手自動車メーカーからの受注
その可能性を開いた幅広い技術力

もちろん、スター精機は自社での製造技術でも高い評価と信頼を得てきた。そのことを象徴するこんなエピソードがある。

「今から50年ほど前のことです。当時、自動車の方向指示器のワイパーレバーは今のように一体化していなくて、直径6mm程度のパイプを複雑に曲げたものでした。実はある期間、ホンダの軽自動車につけられているこの指示器を全量製造していたのが、スター精機だったんです。
なぜそんな大きなものを私たちが受注できたか。それは、パイプ材を曲げ加工する技術と、そのパイプに黒いチューブを圧着させる技術の両方をうちが持っていたから。当然、それも完成品を納入していました。自動車関連への進出のきっかけになった仕事でした」

高い加工技術を要するこの部品の量産化の道筋を示したのは、当時工場長であり、その後社長も勤めた植松正明(現スター精機会長)。社長の従兄弟にあたる人物だ。

「この人のアイデアがまた、すごかった。アイデアがユニークなんです。一つの機械でも、常識的な使い方を超えて、『普通は右から左だけど、上から削ってみたらどうだ』とか『逆から削ってみたらいいんじゃないか』と新しい発想で取り組み、受注を可能にしたことは一度や二度ではありませんでした」

常識にとらわれない工法の柔軟な発想は、加工機械の性能を十二分に発揮する応用力につながった。このことが受注可能な製品の幅の広がりをもたらし、スター精機の発展にも大きく貢献したという。

「うちにある加工設備は取り立てて珍しいものではないんです。でもうちには、一見難しいと思われるオーダーでも、『お客様が望むなら、なんとか工夫してやってみよう』と実現する胆力があるのかもしれない。50年の歴史の中に生まれ育った宝だと思います」。

「たんなるお番頭ではない」
設計にも貢献し、頼られるパートナーに

「ある日、社長と取引先の企業へ訪問させていただいた時、その会社の若手社員の方々が目を輝かせながら社長へ声をかけてきました。『社長、この設計図見ていただけませんか?』『この部分の加工はどのように考えたら良いでしょうか?』など、どんどん質問をしてこられました。この光景には驚きました」。

そう話すのは、同社取締役であり、後継者である長男・名取有希。2020年、21年勤めあげた高校教諭という異業種を経て家業に入り、改めて父が築いてきた信頼の厚さを実感しているという。

取締役営業・管理 名取有希。高校球児として活躍し、大学卒業後は高校教諭となり野球部監督として21年、指導にあたってきた。

「社長は、営業だからと言って、ただ売り込みをするだけではなく、これから作ろうとしている部品の設計図を見て、より効率的に、コストを抑えて製造する方法などをアドバイスしてきたようです」。

(写真左から)株式会社スター精機代表取締役社長 名取元秀/取締役営業・管理 名取有希

そんな言葉に照れたように、「まあ、最初は先方も好意的じゃなかったけどね」と名取社長。

「設計される方は、技術は持っているし勉強もしているけれど、やっぱり実際にものをつくったことがない人がほとんど。だからたとえば、『これをつくるなら、材質が違うぞ』とひとこと伝えるだけで、助けになることがあったんでしょう」

 たんなる製造工場と発注元の関係性を超え、ものづくりの伴走者として現場目線でのアドバイスを行うこと。この積み重ねによる関係づくりは、今も各所で根付いている。

「空調関係で取引が続いているある企業様からは、製品開発前の試作から改良まで全部、うちに依頼がくるようになりました。それ自体は大きな仕事ではないけれど、ここから量産につながって、事業の柱になることもあるんです」

BCP対策でも注目される富士見町。
これからも、期待に応え続けられる企業に

2020年、有希氏の入社と時を同じくして、工場長も新たな人材へとバトンが手渡された。大手自動車メーカーの製造現場や半導体メーカーで経験を重ね、2013年に入社した樋口昭彦だ。樋口が入社当初から徹底して取り組んできたことのひとつが、納品前に不良を検知し取り除く品質管理体制の構築。たとえば、割れや歪みが品質のカギとなる「転造ネジ」では、オリジナルの検査機を開発し導入。納品前のB品検出を飛躍的に向上させている。そのほかピニオンギアの検査機も独自開発し、特許も取得した。

スター精機が独自開発した転造ネジの検査機と樋口昭彦工場長

 「この会社には高い精度で求められるものを製造する技術がちゃんとある。それでも、もし1つの不良品でも納品されれば、再検査等に時間がとられ、他の業務にも支障が出かねません。これを防ぎ、円滑な製造を支えるのが私の役割だと思っています」(樋口)

創業60年まであと2年。さらなる発展のために、名取社長は自社の進化とともに、地域全体のブランド力推進にも強い想いを抱く。なかでも、これまで強調されてこなかった「強み」と考えているのが、富士見町の立地条件そのものだという。

 「今、注目が高まっているBCP(事業継続対策)の観点からいっても、海から遠く土砂崩れの心配も少ないこの地域には地の利がある。まだまだ全国の企業から求められる場所になるはずです。どんなときも、お客様の期待を裏切らないこと。そのための努力を、私たちもたゆまず続けていくつもりです」

取材・執筆:玉木美企子
構成・編集:栗原大介(ヤツメディア)
写真:ミズカイケイコ
動画:山田智大(やまかめ)

株式会社スター精機

【設立】1963年
【所在地】〒399-0214 長野県諏訪郡富士見町落合9656
【連絡先】TEL:0266-62-3127(代表) FAX:0266-62-5306
【代表者】代表取締役社長 名取元秀
【従業員数】23名
【事業内容】複合NC自動盤を主とした部品加工
【主力製品】OA機器部品、自動車部品、省力化機器部品、空調関連部品、電子・電気部品・カメラ部品 他
【設備情報】<バーワーク設備> シンコムA20(16台)、FL32(1台)、E20(1台)、E16(2台)、F25(1台)、L20-7(1 台)、L16-6(2台)、B12-V(4台)、B12(2台)、L10(2台)、L32(2台) ミヤノBNE46S(1台)、BND42S(2台)、BND34C(1台)、BNC20C(2台)、BNC20T (2台)、BND-34S5(6台) ノムラNN10SBⅡ(2台) <2次加工設備> 北村KNC-50S(5台)、タカマツ機械X10ロボット付き(3台)、GSL-10(1台) ミヤノBNC50Ⅱ(2台)、江黒ナグレット-10(2台) 平和テクニカファインカット31W(1台)マシニングFANUC X-T14iB(1台)等
【webサイト】https://www.starseiki-fujimi.com

(記載の内容は全て取材時点の情報です)

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